すろわほっこりエピソード「コミュニケーション」
すろわのお部屋から、グランドの電柱平均台に白いペンキが塗られているのが見えました。
「全部白に塗るのかな、白はやだなー」とGちゃん。
「全部白に塗るのか聞いてみる?あのおじさんすろわの外の壁も塗ってた人だよ。耳が聞こえないからジェスチャーで話してみる?」と私。
「えー、いい」と首を振るGちゃん。
その後、外で遊ぶことになりお気に入りの滑り台で私と二人で遊んでいると、近くで休憩をしていたペンキ塗りのおじさんが手招きして話しかけて来ました。
そして、『何でも屋さん』のチラシを見せて「今度からこういう仕事をすることになったのでよろしく」とマスクを外して声とジェスチャーで教えてくれました。
今まで3件の仕事を受けて、掃除や草刈り、犬の散歩をしたそう。
Gちゃんは、私の通訳を聞きながら、彼の話しに全身全霊で耳を傾けうんうんと笑顔でうなずいていました。
「お年寄りから頼まれる」と彼が言うと、「助かるね」とGちゃん。
「Gちゃん、『助かるね』って書いて伝えたら?」と私が地面に石で『た』と書いて見せると続きの『すかるね』をGちゃんが書きました。
すると、そのコメントを見た彼が驚いたように喜んで、手話で「ありがとう❗️」と言いました。
そして、彼も地面に『ありがとう』と書いてGちゃんに伝えました。
Gちゃんも手話の『ありがとう』を覚えて、私達三人はお互いに手話でありがとうを連呼ながら笑顔で彼とバイバイしました。
それから、Gちゃんはしゃがんで砂遊びを始めると、ぼそっとつぶやきました。
「あの人、なんか、なんていうか、かわいそう。すごいのに、耳がきこえんのやろ?」
と。続けて
「小学校の時とかかわいそうな事があったんじゃないかと思う。心配する・・・」とも。
私はハッとしました。耳が聞こえないからかわいそう、ではなくて、彼の人となりを感じて初めて話した彼の過去にまで想いをめぐらせるGちゃん。
その感受性の強さ、純粋で深い優しさに、心打たれ感動したのでした。